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09年のワールドツアーより、7月にNYシティフィールドで行われたスタジアムライヴを収録した、ポール・マッカートニーの最新実況盤『GOOD EVENING NEW YORK CITY』(2CD+DVD)。
色んなところで「ビートルズの曲ばっかり
」というマイナス批評を見かけますが(少なかったら少なかったで「物足りない」って言われるんだろうけれど)、実際ビートルズ楽曲が占める割合をこれまでのライヴアルバムと比較してみると…
WINGS OVER AMERCA [1976]
…30曲中05曲(占有率17%)
TRIPPING THE LIVE FANTASTIC [1990]
…38曲中17曲(占有率45%)
※HIGHLIGHTS [1990] ※ダイジェスト盤
…19曲中15曲(占有率79%)
PAUL IS LIVE [1993]
…24曲中10曲(占有率42%)
BACK IN THE U.S. [2002]
…36曲中21曲(占有率58%)
※BACK IN THE WORLD [2003] ※数曲差し替え盤
…37曲中23曲(占有率64%)
GOOD EVENING NEW YORK CITY [2009]
…35曲中21曲(占有率
60%)
これら公式リリース盤(『Unplugged』を除く)の収録曲を見る限りは、今回だけビートルズ楽曲が突出して多いというのではなく、00年代以降はず〜っとこのくらいの配分でライヴを演ってるという感じですね。聴衆が聴きたいのは新曲ではなくてビートルズの曲、という期待にポールは120%応えてるわけです。本音は別として。
そしてボクらがこの人のライヴに抱く期待感というのは、マンネリ感ではなく、「オペラ座の怪人」とか「キャッツ」といったロングラン公演のミュージカルのような、"変わらないモノ"を期待して観に行くのに似た感覚があります。そういう意味では、「Jet」に始まり「The End」に終わるというのは、「またかぁ
」ではなく「待ってました
」という感覚、ミュージカルの如く完全に定番化した感があります。
そうそう、ビートルズ楽曲といえば…今回、ジョージ・ハリスン珠玉の名曲「Something」をウクレレ⇒バンドアレンジ
でカヴァーしていますね。ジョージが嫌がったあの"弾き過ぎ"ベースがきちんと再現されています。ジョージが嫌がろうとも、ジョージ楽曲におけるポールのベースラインはやっぱり至極のラインだと思います。グッときます
でも一方で、ジョン・レノン・トリビュートな「A Day In The Life」~「平和を我等に」は、過剰なサービスというか、なぜかまったくグッとこなかった
『Back...』ではじめて「Here Today」を聴いたときは涙出そうだったのにナァ
あとビートルズ楽曲以外では、いつの時代も堂々オープニングのポジションを守り続けているブラスロック「Jet」をはじめ、ウイングスの最高傑作『Band On The Run』(意外な選曲「Mrs Vandebilt」含め4曲)、そして最近よく演るようになった『Flaming Pie』からのセレクトが目立ちますね。
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バンドメンバーは、ポール"ウィクス"ウィケンズ(kb,vo)、ブライアン・レイ(g,b,vo)、ラスティ・アンダーソン(g,vo)、エイブ・ラボリエルJr(ds,vo)という、02年の"Driving USA"ツアー以来不動の4人。途中ブランクがあるとはいえ9年間同じメンバーって…ポールにとっては快挙じゃないかと
そのくらい息ピッタリなんだと思う。バンマスのウィクスに至っては89年のワールドツアー以来、20年以上ずっとですからね。
で、このヤングアメリカンズの演奏が、『Back In The U.S.』でも実証済のとおりめっちゃタイトでカッコイイんですね
往年のビートルズファンにはこのソリッドなロックサウンドがイマイチと感じるみたいなんですが、「Let Me Roll It」後半にヌルッと挿入されるジミヘン「Foxy Lady」とか個人的にはむしろツボです。あと、このメンバーで録音された最新作『Memory Almost Full』収録の「Only Mama Knows」(個人的に、同アルバム中唯一◎だった曲)が、ライヴだとカッコよさ倍増でした。
そして肝心のポールサンですが…その『Back...』どころじゃないんですよ、声の出具合のよさが
プロトゥールスに取り込んだライヴ音源を、スタジオでコピペして体裁整えてるんだろうけれど…それを差し引いてもこの人、67歳のおじいちゃんですよ、フツーなら。作曲家としてだけでなく、パフォーマー/ヴォーカリストとしても天才ですヮ、この人。
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Good Evening New York City / Paul McCartney
2009年11月発表 [英28位/米16位(ゴールド)]
1. Drive My Car The Beatles "Robber Soul" 1965 |
2. Jet Paul McCartney & Wings "Band On The Run" 1973 |
3. Only Mama Knows Paul McCartney "Memory Almost Full" 2007 |
4. Flaming Pie Paul McCartney "Flaming Pie" 1997 |
5. Got To Get You Into My Life The Beatles "Revolver" 1966 |
6. Let Me Roll It Paul McCartney & Wings "Band On The Run" 1973 |
7. Highway The Fireman "Electric Arguments" 2008 |
8. The Long And Winding Road The Beatles "Let It Be" 1970 |
9. My Love Paul McCartney & Wings "Red Rose Speedway" 1973 |
10. Blackbird The Beatles "The Beatles" 1968 |
11. Here Today Paul McCartney "Tug Of War" 1982 |
12. Dance Tonight Paul McCartney "Memory Almost Full" 2007 |
13. Calico Skies Paul McCartney "Flaming Pie" 1997 |
14. Mrs Vandebilt Paul McCartney & Wings "Band On The Run" 1973 |
15. Eleanor Rigby The Beatles "Revolver" 1966 |
16. Sing The Changes The Fireman "Electric Auguments" 2008 |
17. Band On The Run Paul McCartney & Wings "Band On The Run" 1973
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1. Back In The USSR The Beatles "The Beatles" 1968 |
2. I'm Down The Beatles single 1965 |
3. Something The Beatles "Abbey Road" 1969 |
4. I've Got A Feeling The Beatles "Let It Be" 1970 |
5. Paperback Writer The Beatles single 1966 |
6. A Day In The Life The Beatles "Sgt. Pepper's..." 1967 ~Give Peace A Chance John Lennon single 1969 |
7. Let It Be The Beatles "Let It Be" 1970 |
8. Live And Let Die Paul McCartney & Wings single 1973 |
9. Hey Jude The Beatles single 1968 |
10. Day Tripper The Beatles single 1965 |
11. Lady Madonna The Beatles single 1968 |
12. I Saw Her Standing There The Beatles "Please Please Me" 1963 |
13. Yesterday The Beatles "Help!" 1965 |
14. Helter Skelter The Beatles "The Beatles" 1968 |
15. Get Back The Beatles "Let It Be" 1970 |
16. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band The Beatles "Sgt. Pepper's..." 1967 ~The End The Beatles "Abbey Road" 1969 |
=ビートルズ楽曲 =新作『Memory Almost Full』からの楽曲(+α)
ビートルズ楽曲をはじめこれだけスタンダード曲が持ち歌の人なんで、到底叶わないんでしょうけど………もっと(80年代の隠れた名曲中心の)マニアックな選曲でいつかライヴを演ってほしいナァ
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